データ分析失敗事例集: 失敗から学び、成功を手にするを著者より頂きました。早速読んでみたので、内容と感想を簡単に共有します。本の最初に失敗パターンが5つ紹介されています。この記事では、それぞれの失敗パターンを自分の言葉で解釈しなおして書きました。著者による解釈は本書を手にとってもらえればと思います。また、それぞれの失敗パターンについて、より具体的な例が記載されているので、分析経験が長い人にとっては苦い思い出が呼び起こされ、これから挑戦していく人にとっては先人の苦労を知ることが出来るかと思います。
このような話題はコロナ禍前では飲み会で業界内で話題になることはありましたが、オンラインが増えてきた現在では意見交換が減ってしまったので、本書による事例共有は非常にありがたい存在です。
失敗パターン1: 「分析結果に対する想像力の欠如」 データ分析をしてその結果を纏めることは出来ていても、それがビジネスに対してどのような変化を与えられるかを考慮していなかったパターンです。ビジネスに貢献できないのであれば、分析の価値が無くなってしまいます。
失敗パターン2: 「根拠のない過剰な期待」 分析結果を見る前に、次にやることが決まっているケースです。次にやるべきことに沿うように分析するのであれば、分析の実施有無は判断に影響がありません。当初の想定を覆すような分析結果が出た場合に、方向修正ができる必要があります。
失敗パターン3: 「難しすぎる課題」 データに大きな価値を期待してほしい分析者にとっては悩ましい問題です。実現困難な課題の解決を求められた場合に、なぜそれが難しいのかを理解してもらい、現実的に解決可能な問題に軌道修正する必要があります。分析で解決できるようにしつつ、ビジネス上に価値が出せる落とし所の模索をプロジェクトメンバーが協力しあいながら探らなければなりません。
失敗パターン4: 「分析実効性の確認不足」 プロジェクトは始まったけど、データや分析環境が存在しない場合です。データ分析のプロジェクトを経験したことない人からすると信じられないかもしれませんが、実際にありえます。データにアクセスする権限がなかったり、アクセスできるような組織体制になっていない場合があります。また、データを処理するコンピュータの確保から始めなければならない場合もあります。
失敗パターン5: 「手段の目的化」 高度な分析手法を使うことがプロジェクトの目的になってしまうことがあります。最新手法を使うことが担当者の評価に繋がってしまう場合に起こります。もっと簡易的な方法で、安く早く問題を解決することが出来るかもしれないので、手段が指定される場合は注意が必要なプロジェクトになります。解決したい問題は何かを整理するところから、始める必要があります。
本書で紹介されている失敗事例は自分で体験したり、友人から聞いたことあるものが多く含まれています。読み物として面白いので、オススメしたい1冊です。